「噂よりも真実の追究を」ACU議長がメディアに進言
「純粋に真実を知りたいのなら、まず真実に向き合うべきだ」──マット・シュラップACU議長が最近のNBCの取材姿勢に釘を刺した。道徳的価値観はもちろん大切だが、道徳観のフィルターで物事を見ようとすると真実にたどり着かないことがある。案外この点をジャーナリスト達は忘れがちである。
「トランプ大統領の発言は嘘である」などと報道されることがある。嘘か真かとの判断は、報じる側がトランプ大統領や側近に接触し彼らの本音を入手してから判断する、というプロセスを経たものであるべきだろう。議長はアメリカ最大のメディアに対し、こう付言した。「あなた方の判断基準は、ジョージ・ソロスのような左派の広告スポンサーに依拠している限り公平なものとは言えないでしょう」。
確かに、NBCのような大手メディアだからこそ、大統領が1日9,000回嘘をついていると噂するブログやウェブサイトの情報を鵜呑みにするのではなく、自らの力で取材をしてから報じるのが理想であり、視聴者もそのようにして得た情報を欲しがっているのは言うまでもない。視聴者が流した情報が単純に再利用されるという状況は、情報を流した視聴者にとっては何も得ることがないのと同然だ。事実、NBCのキャスターにも同様の姿勢を露呈するシーンが何度か見受けられた。彼女なりに民意を反映しての姿勢だったつもりかもしれないし、取材し尽くしたつもりだったのかもしれない。議長は彼女の努力を完全否定こそしなかったが、相手がメディアの人間だからこそ、あえてメディアの成長を期待しメディアリテラシーを質した。概要はこうだ。
「大統領が何か正しいことをしたとする。そして、視聴者がSNSで『嘘つき』と主観を述べたとする。メディアが視聴者のSNSを重宝しすぎる現状においては、『嘘つき』という視聴者の主観を再利用してメディアが報じることも、十分にあり得る。この姿勢は、公共のパブリシティーとしては役割を果たしているかもしれないが、ジャーナリズムとは言いがたい。」
シュラップ議長の鋭い指摘が続く。
「なぜ、共和党保守層や共和党支持者が、メディアの方々と異なる見方をしているかお気づきですか?なぜ、道徳的な判断にこだわりすぎるあまり、真実から飛躍するのですか?大統領は不道徳なことをしていると決め付けたがるのですか?」容赦の無い追及は12分間に及んだ。
健全な社会構築のためには、真実追究ありき。これがメディアの本来の目的であることは論ずるまでもない。シュラップ議長はこの日、メディアに対してごく基礎的なお願いをしたのだった。