◇ブロックチェーン時代を見据えて~金融庁主導で進む仮想通貨取引所の再編
ここ数カ月、大手企業の仮想通貨の交換取引業者への資本参加の動きが顕著である。この背景には、金融庁から交換業者に対して「金融機関並み」の運営体制を求める指導がある。きっかけとなったのは、コインチェックから巨額の仮想通貨流出事件後の金融庁による立ち入り検査だ。金融庁は登録業者16社のうち7社とみなし業者の全16社(当時)への立ち入り検査を行った結果、「技術には詳しくても金融業に対する知識を欠いた経営者が多い」、「役員にも金融業としてのリスクマネージメントの知識を有する人材不足」を指摘し、「金融機関からの出資を受けてはどうか」と提案。これを受けて業者側は金融庁の方針に則って、金融機関でリスクマネージメントやコンプライアンスの経験のある人材の雇用を進めていた。以降、証券大手や大手企業から登録業者やみなし業者に対して買収や資本提携を持ちかける動きが活発化し、実際、コインチックの買収を巡っても最終的にネット証券大手のマネックスグループが傘下におさめている。大手金融機関としては、いつになるかわからぬ金融庁への登録手続きで足踏みするよりも登録済業者を買収した方が仮想通貨事業参入への近道なわけである。8月20日にはネット証券最大手のSBIホールディングが、みなし業者の1社で金融庁から業務改善命令を受けているLastRootsに出資することを発表し、役員も派遣するという。こういった仮想通貨取引所の再編の動きは、ここのところ仮想通貨市場が低迷する中においては大きな刺激となり、あらためて市場活性化へとつながるだろう。