2019年が幕を開けた。筆者は昨年末からマレーシアに滞在し、当地でこの記事を書いている。来て驚いたのは、仮想通貨の投資目的で移住してきた日本人の多さだ。海を越え、株投資すら躊躇う日本の古い常識を越え、世界で仮想通貨の投資に励む日本人のダダ増加・・・この傾向はますます勢いを増しそうだ。
■ コイン市場をリードするのは「共感を集めるイデオロギー」
注目すべきは、稼ぐ目的に加えて、より高レベルで付加価値を追究する新参者の参入といえよう。ブルビットコイン社のCEOポウリオット氏は、今年のビットコイン市場について仮想通貨投資の悲観論者でさえも唸らせる見解を述べてみせた。「今後市場を動かしうるのはニュータイプの投資家やファウンダーだろう。エコシステム参加者の中には、魂、イデオロギー、主権に対する期待を持った能動的な人達が、ファウンダーと投資家の両方に一定数おり、彼らがコインに価値を与える動きが期待される」。仮想通貨界の有名アナリスト、ジョセフ・ヤング氏も「新しい才能がコイン市場に流入している。コイン市場は成長するだろう」と、ポジティブな見解を示し、eToro(イートロ)のシニアアナリスト、マティ・グリーンスパン氏は「2019年1月現在の値は、実は底に近い」と今後はさらなる市場の上昇を予想したうえで「今年は金融資産をトークン化する動きが投資家の間で広がる」と、トークン投資家が増える展望を描いている。今年に入りまだ2週間程度ではあるが、実際にビットコイン価格は上昇傾向が垣間見られる。
株式市場でも同様のことが言えるが、市場の上昇には新参者が欠かせない。新たに買い足されないと株価は上がらないとの基本をコイン市場に当てはめて考えると、コイン市場でも、やはり新参者の積極的な動きに期待すべきだろう。ここで言う新参者とは、投資する側だけを指すのではなく、新たな仮想通貨製品そのものやファウンダーの個性も指す。上記の有識者発言なども勘案すると、今年は「魂、イデオロギー、主権に対する期待」に訴えかける新製品が注目を集めるのではないだろうか?
■仮想通貨は死んだ・・・?いや、むしろ再起動する2019年
昨年は特に、仮想通貨市場が見せた価格下落や不正取引事件が引き合いに出され、仮想通貨そのものをネガティブなものとして見られる風潮があった。ネットでは「仮想通貨は死んだ」などと極論を述べる者も出る始末だった。ところが、上記のグリーンスパン氏はブルームバーグのインタビューで、「昨年のネガティブな流れは仮想通貨業界を健全に成長させるための重要な1年だった」と結論付けている。前回のニュースレターで、アメリカSECの企業金融部長が「今後ICOを行う際に必要となるガイダンスを『理解しやすい言葉』で作成し、公開したい」とメディアで発言した旨をお伝えしたが、彼がわざわざ公共の電波でこうした発言をしたのは、仮想通貨業界をより表舞台に立たせ、健全で、一般市民にも理解しやすいものに成長させたい意図があったからだろう。SECには仮想通貨業界を縮小させる意図など全くない。むしろ、昨年の反省を踏まえ、SEC、ファウンダー、投資家が三位一体となり2019年を健全なニューメガ金融システム元年として再起動すべし、と意気込んでいると捉えても良いだろう。
文章中の用語解説
ビットコイン:
仮想通貨の1つ。発行量に限度があること、価格は市場が決めること、換金できること等から、金融商品の一つである金やプラチナに似ていると評されることもある。
SEC:
アメリカ証券取引委員会。金融商品の取引を監督・監視するアメリカの連邦政府機関。
ICO:
仮想通貨を発行・販売し、開発費や研究費を調達すること。
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