4月27日、北朝鮮の金正恩委員長は板門店の軍事境界線を越えて韓国の文在寅大統領と南北首脳会談を行い、「板門店宣言」に署名した。「朝鮮半島の完全非核化」と「年内に休戦中の朝鮮戦争の終戦宣言を目指す」ことで合意し、世界中は歴史的な第一歩とこの動きを歓迎した。アメリカのトランプ大統領もある程度の評価を与えたものの、言葉だけでなく具体的な行動を取るまでは今後とも「最大級の圧力」を緩めない方針を示した。実際、宣言には「核放棄」や「非核化の具体的な時期」に触れていない。ただ、これまで執拗なまでにアメリカと対決姿勢を示してきた北朝鮮の変貌ぶりをどう捉えるかである。ACU政策フェローで昨年末のJCPACに参加したゴードン・チャンは全く予断を許さないと分析する。「本来ならば金正恩はトランプを欺きたいところだろうが、制裁が痛烈過ぎて交渉するしか選択肢がなかった。会談に臨んだのは制裁緩和が緊急を要し、それができるのはトランプだけだからだ。そもそも金正恩の究極の目的は南北統一及び朝鮮半島からの米軍の追放であり、特に南北統一は北朝鮮建国(1948年)以来、金一族の悲願であり、勝利にも値する。いわば、南北会談での約束は文在寅にそれを促す狙いがあり、トランプは金と文の両リーダーと実質的に対峙しているわけだ。が、トランプは軍事力以外にも金に武装解除させる手段を持っていることを忘れてはならない。たとえば、北朝鮮の後ろ楯である中国やロシアにカードを切っていない」。北朝鮮は卓袱台返しの名人で、これまでアメリカも煮え湯を飲まされてきた。表向きは金正恩の友好的な笑顔が取り上げられているが、要は一カ月以内に予定される米朝首脳会談を待つまでは何も変わらないということである。」
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