米朝首脳会談を巡って国際情勢が騒がしくなってきた。4月13日、トランプ米大統領はシリア国内でアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、英仏との共同作戦で化学兵器関連施設3カ所に100発を超えるミサイルを撃ち込んだ。これはシリアに対して慎重に構える国々がある中、国連安保理の承認を得ることなく起した軍事行動だが、人道的見地からも断固たる思いで臨んだトランプの実行力に対して高い評価が少なくない。ただトランプの頭の中には11月の中間選挙をにらんだ思惑もあった。多額の戦費を投じながら一向に成果の上がらない中東シリアからの撤退であり、このミサイル攻撃は丁度その置き土産となった。また北朝鮮への強いメッセージも残された。「非核化」を前提とした米朝首脳会談を前にして、約束を反故にした時は「こうなるぞ」といわんばかりの北朝鮮への警告だ。そもそも北朝鮮はシリアに武器の技術提供もしていたわけで、警告の効果は小さくないはずだ。その米朝首脳会談の実現に向けた関係各国の動きが活発だ。米CNNが伝えたところによると、中国の習近平が訪朝の準備に入っているという。それが意味するのは習は先の北京での金正恩との会談で「非核化の誓約を得た」からではないか。米も米朝首脳会談実現に向けてポンペオCIA長官を3月末に訪朝させた。次期国務長官に指名されたポンペオは首脳会談を仕切る立場にあるわけで、会談が現実味を帯びてきた証だ。果してポンペオは金正恩と会ったのか? トランプは17日、訪米中の安倍首相との会談の中で、「北朝鮮の非常に高いレベルと直接的な話し合いを既にしている」と発言しているが、その通りであろう。他、会談で「核及びミサイルの検証可能で不可逆的な廃棄を目指す方針」を再確認し、「最大限の圧力を維持していく」ことも確認している。合わせて、米朝首脳会談で拉致問題を取り上げることも約束された。会談は「朝鮮半島の非核化」が最大のテーマであるが、日本にとっては拉致問題解決のこれが本当に最後のチャンスと期待したい。